第0章 研修の進め方と C# プログラミングを始める前に
この章の目的
Section titled “この章の目的”この章では、C#プログラミングを始める前に、研修全体の流れと、これから使う道具のおおまかな役割を確認します。
この章の読み方
この章には、これから学ぶ用語や道具がいくつか出てきます。 しかし、この章ですべてを理解する必要はありません。
後の章で実際に手を動かしながら、少しずつ理解していきます。 研修中に分からなくなったら、この章に戻ってきてください。
今は「そういう言葉や仕組みがあるんだな」程度に読み流して構いません。
この章でできるようになること
Section titled “この章でできるようになること”この章を終えると、次のことができるようになります。
- この研修で学習する全体像をおおまかに説明できる
- 最初にコンソールアプリを作ることを理解している
- C#と.NETの関係をおおまかに説明できる
- Visual Studio 2022の役割をおおまかに説明できる
0-1 この研修で学ぶこと
Section titled “0-1 この研修で学ぶこと”この研修では、C#を使ってプログラムを作成するための基礎を学習します。
学習の流れは次の通りです。
1. C#の基本文法を学ぶ (第 1〜6 章)2. クラスとオブジェクト指向を学ぶ (第 7〜14 章)3. 例外処理を学ぶ (第 15 章)4. SQLServer の環境を構築し、C# から DB を操作する (第 16〜17 章)5. Windowsフォームアプリの基本と DB 連携を体験する (第 18〜25 章)6. ASP.NET Core MVC による Web アプリと DB 連携を体験する (第 26〜30 章)7. 第 5・第 6 のいずれでも、データの更新(UPDATE)まで踏み込む (第 25 章 / 第 30 章)8. 最後に Windows フォーム版と Web 版を比較してまとめる (第 31 章)TODO: 図0-1「研修全体の流れ」を挿入する
この研修の特徴として、第 23〜25 章(Windows フォーム)と第 28〜30 章(Web)で、まったく同じ「社員管理アプリ」を 2 通りで作り直します。第 31 章で両者を見比べ、プラットフォームの選び方を整理します。
単に文法を覚えるだけではない
Section titled “単に文法を覚えるだけではない”現場では、次のような作業を行うことがあります。
既存システムのコードを読む不具合の原因を調査する小さな機能を追加する画面に項目を追加するDBから取得するデータを変更するSQLの条件を修正するエラー内容を確認するそのため、この研修では、C#の文法だけでなく、アプリケーション全体の構成も少しずつ学びます。
0-2 最初に作るのはコンソールアプリ
Section titled “0-2 最初に作るのはコンソールアプリ”この研修では、最終的に次の 3 種類のアプリケーションを扱います。
| アプリの種類 | 特徴 | 扱う章 |
|---|---|---|
| コンソールアプリ | 文字を入力し、文字で結果を表示するシンプルなアプリ | 第 1〜17 章 |
| Windows フォームアプリ | Windows 上で動くデスクトップアプリ | 第 18〜25 章 |
| Web アプリ | ブラウザーからアクセスして利用するアプリ(ASP.NET Core MVC) | 第 26〜30 章 |
最初はコンソールアプリから始めます。
コンソールアプリは、次のようなアプリです。
入力してください。山田二郎
こんにちは、山田二郎さん最初から Web アプリやデスクトップアプリを作ると、画面、DB、通信、イベントなど多くの要素が一度に出てきてしまいます。
そのため、まずはコンソールアプリで C# の基本を身に付け、その後で Windows フォームアプリ、最後に Web アプリへと進みます。
Windows フォームアプリや Web アプリの詳しい話は、研修後半でそれぞれの章で扱います。
0-3 C#とは何か
Section titled “0-3 C#とは何か”C#は、Microsoftが中心となって開発しているプログラミング言語です。
業務システムからゲームまで、幅広い分野で使われています。
C#はオブジェクト指向の言語です。
そのため、研修の途中から次のような考え方が重要になります。
クラスオブジェクトプロパティメソッド最初は難しく感じるかもしれません。
この研修では、いきなり高度な内容に踏み込むのではなく、簡単なコードを書きながら少しずつ理解していきます。
0-4 .NETとは何か
Section titled “0-4 .NETとは何か”C#でプログラムを作るときには、.NET(ドットネット)という仕組みを使います。
.NETは、C#などの言語で作成したプログラムを動かすための実行環境や、よく使う機能をまとめたものです。
この研修では、.NET 8 を使います。
たとえば、文字を画面に表示するときに使う次のコードも、
Console.WriteLine("こんにちは");この Console は、.NETが用意している機能の1つです。
| 言葉 | 役割 |
|---|---|
| C# | プログラムを書くための言語 |
| .NET | C#のプログラムを動かす仕組みと、よく使う機能の集まり |
0-5 Visual Studio 2022の役割
Section titled “0-5 Visual Studio 2022の役割”この研修では、主な開発環境として Visual Studio 2022 を使用します。
Visual Studioは、プログラムを作るための統合開発環境です。
統合開発環境は、英語で IDE(Integrated Development Environment)と呼ばれます。
Visual Studioでは、次のような作業を行えます。
プロジェクトを作成するC#コードを書くプログラムを実行するエラーを確認するデバッグするVisual Studioでよく使う画面
Section titled “Visual Studioでよく使う画面”最初は、次の3つの画面を主に使います。
| 画面 | 役割 |
|---|---|
| ソリューションエクスプローラー | プロジェクト内のファイルを確認する |
| コードエディター | C#コードを書く |
| エラー一覧 | コンパイルエラーなどを確認する |
これ以外の画面は、必要になった章で順次紹介します。
ソリューションとプロジェクト
Section titled “ソリューションとプロジェクト”Visual Studioでは、次の2つの言葉がよく出てきます。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| ソリューション | 複数のプロジェクトをまとめる入れ物 |
| プロジェクト | 1つのアプリケーションを作る単位 |
イメージは次のようになります。
ソリューション └─ プロジェクト └─ C#のソースコード詳しくは、第1章で実際にプロジェクトを作りながら確認します。
0-6 この研修で使う環境
Section titled “0-6 この研修で使う環境”この研修で使う環境を整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開発環境 | Visual Studio 2022 |
| 実行環境 | .NET 8 |
| メインのデータベース | SQLServer 2022(データベース名 TrainingDB) |
| 補助的に参照するデータベース | Oracle Database(SQL研修の pingt ユーザー) |
| DB 認証方式 | Windows 統合認証(第 16〜25 章) / SQL 認証(第 27〜30 章) |
| 提出方法 | Git |
メインのデータベースは SQLServer 2022 です。第 16 章で TrainingDB というデータベースと、社員テーブル(employees)・部署テーブル(departments)を新規に作成し、第 17 章以降の DB を扱う章ですべてこの環境を使います。
Oracle Database は、第 17 章で SQL 研修との橋渡し として参考的に紹介するだけです。SQL 研修で pingt ユーザーの employees / departments テーブルを触った記憶を呼び起こしながら、「同じ ADO.NET のパターンが SQLServer でも Oracle でも使える」ことを確認します。
| 章の範囲 | 認証方式 | 理由 |
|---|---|---|
| 第 16〜25 章(自分の PC で動かすアプリ) | Windows 統合認証 | アプリを起動した本人として DB に繋ぐ |
| 第 27〜30 章(Web アプリ) | SQL 認証(アプリ専用ユーザー) | サーバー上のアプリが代表して DB に繋ぐ |
社員テーブルの設計は、SQL 研修の Oracle 版とは少し違って、姓と名を分けたり(last_name / first_name)、メールアドレスに重複禁止の制約を付けたりと、業務寄りに作り変えています。詳しくは第 16 章で扱います。
0-7 この章で取り上げなかったこと
Section titled “0-7 この章で取り上げなかったこと”この章では、研修全体の概要だけを紹介しました。
次の内容は、それぞれの 章 または 付録 で詳しく扱います。
| 内容 | 扱う場所 |
|---|---|
| プロジェクトの作成手順 | 第 1 章、付録 B |
Console.WriteLine の使い方 | 第 1 章 |
| 変数とデータ型 | 第 2 章 |
| クラスとオブジェクト指向 | 第 7〜14 章 |
| 例外処理 | 第 15 章 |
SQLServer 環境構築(TrainingDB 作成) | 第 16 章 |
| C# からデータベースを操作する(SQLServer、Oracle は参考) | 第 17 章 |
| Windows フォームアプリ(入門 + 社員管理アプリ) | 第 18〜25 章 |
| ASP.NET Core MVC による Web アプリ(占いアプリ + 社員管理アプリ) | 第 26〜30 章 |
| Windows フォーム版と Web 版の比較まとめ | 第 31 章 |
| 演習の進め方とチームレビュー | 付録 A |
| Visual Studio 2022 の操作・ショートカット | 付録 B、付録 D |
| Git による提出手順 | 付録 C |
| エラー時のトラブルシューティング | 付録 E |
| SQLServer 2022 / SSMS のインストール手順 | 付録 G |
0-8 研修中に困ったときの参照先(付録案内)
Section titled “0-8 研修中に困ったときの参照先(付録案内)”研修中、必ずどこかで詰まります。 そんなときは、本研修テキスト末尾の 付録 A〜E を活用してください。 各付録は 目的別に役割が分かれている ため、迷ったら次の表で当たりをつけられます。
| 詰まったこと | まず見る付録 |
|---|---|
| 演習の時間配分・チームレビュー・発表の進め方が分からない | 付録 A |
| Visual Studio 2022 の機能・操作で迷った | 付録 B |
| Git の提出手順・コマンドで詰まった | 付録 C |
| ショートカットキーを覚えたい・効率化したい | 付録 D |
| エラーが出て解決方法を症状から探したい | 付録 E |
付録は最初に通読すると安心
研修開始前に 付録 A(演習サイクル)と 付録 B(VS の準備)に一度目を通しておくと、最初の数日がスムーズです。 付録 C・D・E は、必要になったときに参照する 辞典的な使い方 で構いません。
この章のまとめ
Section titled “この章のまとめ”この章では、研修全体の流れと、これから使う道具のおおまかな役割を確認しました。
- この研修では C# の基本 → DB 接続 → Windows フォームアプリ → Web アプリ → 両者の比較 の順で学習する
- 最初はコンソールアプリから始める
- C# はプログラムを書くための言語、.NET はそれを動かす仕組み
- Visual Studio 2022 は、プログラムを作るための統合開発環境(IDE)
- 最初に使う画面は「ソリューションエクスプローラー」「コードエディター」「エラー一覧」の 3 つ
- メインの DB は SQLServer 2022(第 16 章で
TrainingDBを新規構築)。Oracle は第 17 章で参考紹介のみ - 第 23〜25 章と第 28〜30 章で、同じ社員管理アプリを Windows と Web の 2 通りで作り直す
- 詰まったら 付録 A〜E を辞典的に使う(0-8 参照)。SQLServer のインストール手順は 付録 G
次章では、いよいよ Visual Studio 2022 を使って、初めての C# プログラムを作成します。